【11】科学的検証-生命の起源⑥ 『段階的に導く創造プロセスがあった!』
ここで考えたいのは、このような熱水噴出孔を舞台にどのように創造が行われたのか、ということです。
1つのシナリオは、熱水噴出孔で神が一気に創造したというもの。多くの宗教者はそう考えるかもしれません。確かに一気に創造されれば、途中の段階で酸素などの攻撃を回避できるというメリットはあります。
しかし、上述したように、神は宇宙の創造においても、いきなり創造しないで、時間をかけて段階的に行われていることからも、「最初の生命」の創造においてもすべて時間、空間の中の法則に従って行われたと考えられます。
創造には動機と目的がある
ここで創造ということをもっと深く理解するために1つ例を考えましょう。
サルに餌をあげながら訓練してタイプライターを打たせるようにします。するとサルはいつかI LOVE YOUと打ち出すかもしれません。しかし、愛を込めて打ち出すことはできないのです。
一酸化炭素とアンモニアが化学反応すると、確かに微量ながらアミノ酸はできるので、進化論者は目に見える一部の現象だけを見て偶然に頼る化学進化説を主張し、目に見えない本質的かつ原因的な世界を見えないようにしているのです。
熱水噴出孔自体もそこにある材料の分子もビッグバン前の設計図に基づいて展開された段階的創造の結果です。そこに隠れているのは、神が動機と目的を中心として導いてきて熱水噴出孔や分子群も創造し、それ以降もそれを土台に創造活動を展開したということです。
ですから、熱水噴出孔のチムニーの金属触媒表面や多孔質を舞台に、簡単な分子から部品をつくり、必要な高分子をつくり、それらを集め、組み立てていく多数のステップが最初の生命を創造するという目的のために展開したというシナリオが最も合理的で納得のいくシナリオになります。一連の反応の全体像は次のような図になります。
最初の段階は電気化学エネルギーとチムニーに沈殿した金属触媒によって二酸化炭素から一酸化炭素が創られ、また、硝酸イオンからアンモニアが創られます。これは高井研博士らが『生命の起源はどこまでわかったか―深海と宇宙から迫る』で記述している通りです。
次は一酸化炭素、アンモニア、水素から金属触媒によってアミノ酸が創られる段階ですが、材料である一酸化炭素とアンモニアが集められて、適切な金属触媒のところで化学反応することができなければ、アミノ酸はできません。一酸化炭素、アンモニアを金属触媒のところに集めて反応に導く創造のプロセスがあったと推定されます。
それに生命に不可欠なアミノ酸は20種類あるので、それぞれの種類のアミノ酸を合成する反応が行われる必要があります。次は各種アミノ酸を適切な順番で結合させていき、各種タンパク質がつくられていきます。神があらかじめ設定した設計図情報に基づいてアミノ酸が連結されたと推察されます。
一方、最初の生命の部品としてはRNAの組み立てブロックであるリボヌクレオチド、DNAの組み立てブロックであるヌクレオチドや脂肪酸なども必要です。リボヌクレオチドやヌクレオチドのためには糖と塩基という材料も準備されなければなりません。
多数の材料が同時並行的に準備され、それが集められて次の段階へ、というのは、化学工場のプラントと同じです。大小のパイプが走りまくっていますが、それは原料物質から順番に、段階的に目的の化合物を合成していくためにそのようになっています。
化学プラントを制御している主体は人間ですが、最初の生命が生まれてくる多数のプロセスを制御し導く主体は神です。最終的に、必要なタンパク質、DNAやRNAが組み立てられてくると、多孔質のどこかの孔の中ですべての部品が結集され膜の中に収められながら精密に組み立てられたのではないでしょうか。
高井氏らは熱水噴出孔で最初の生命が登場したことにかなり自信をもっていますが、簡単な分子からできあがっていく、化学進化という偶然だけの自然任せの過程では最初の生命に至ることはできません。各段階が目的に向かっていく精密に導かれたプロセス(guided process)が存在したと考えられ、それは神の創造活動が最初の生命に向かって連続的に展開されたということを示していると思います。
最近のテレビ番組で、大人気のカレーパンの店を紹介し、製造工程の様子を伝えていました。親からレシピを引き継いだ青年がカレーを時間をかけて段階的に準備しますが、どの段階も本当に喜んで作業している姿がとても印象的でした。お客さんを喜ばせたい一心で一段階、一段階心を込めて準備しているからこそ人々を魅了する絶品カレーパンができるのだと思います。
ですから、精魂込めて投入された創造物には動機と目的を含む特別な思いが込められています。簡単な化合物からアミノ酸の材料ができ集められる段階も、それぞれのアミノ酸が創造される段階も、それ以降のすべての段階も最初の生命の創造に向けて動機と目的をもった神がエネルギーを注ぎながら導いたとみることができます。例えば、神が関与しない自然の状態ならアミノ酸は海水の酸素などの攻撃を受けますが、神が動機と目的をもってエネルギーを注ぎながら導く中ではアミノ酸は保護されたまま次の段階に行くことができます。
神がなぜ物質に介入できるのか
ここで、どうやって目に見えない神が化合物を保護したり、導いたりして、物質に関与、介入できるのかと不思議に思われる方もいるかもしれません。
しかし、考えてみてください。神はビッグバンの前に物理法則を設定し、物質がない状態から物質を創造してきました。それが意味するのは、私たちの心と体が一つになって私たちのいのちになっているのと同様、神はその心的な性質と体的な性質が一体となって存在していることを示唆しています。
物質は神の体的な性質から来ていると考えられます。ですから、神が物質を創造し、物質に関与できるだろうことは当然のように思われます。
ダーウィンが友人に宛てた書簡で、地球上の生命の起源に関する「温かい水たまり」説を示し、それが種となってソ連のオパーリンの化学進化説となり、現代の科学者はその流れを引き継いでいます。しかし、進化論、唯物思想によって影響され神を除外してきた科学は限界にぶつかったままです。科学は「群盲象をなでる」の状態から脱すべきです。
今こそ、科学は、宗教や哲学と力を合わせ、私たち人類のいのちの根源者、原因者であられる神の姿を追求して人類の前に明らかにするときではないでしょうか。
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