【5】科学的検証 『選択肢は進化論を含め5つ』

 「最初の生命はどのように生まれたのか」「下等な生物からどのようにしてより高等な生物になっていったのか」「人類がどのように登場してきたのか」-いずれも進化論が扱っているテーマですが、当然ながらすべて遠い過去の出来事です。

段階的創造
(Peter Lim)

 例えば、最近、生物の痕跡が約39億5000万年前の岩石から見つかっています(参考: https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20170928-00076285/)。人類の歴史についても数百万年前から段階的に私たちの体に近づいていく化石が見つかっていますね。

過去の出来事で真実を探す方法は犯罪捜査と同じ

 タイムマシーンのように過去に戻ってみることはできません。ですから、私たちが真実を見極めていく方法は、犯罪捜査と同じです。犯罪捜査では、どこかで人が死んでいたなら、真っ先に現場検証し、髪の毛、血液など体液、指紋など物的証拠を採取します。司法解剖で他殺と判定されれば、聞き取りなどを行いながら容疑者を推定し絞り込んでいく。A、B、Cという人物が浮上してきて、B、Cはその時間にそこにいなかったという明確な証言、証拠があれば、B、Cはシロ(犯人ではない)になります。最終的にその容疑者Aと現場にあった血液のDNAが一致すれば、Aが犯人と特定する決定的な証拠になります。

 ですから、生命の起源・生物の高度化・人類の起源の問題も同様に化石、DNA、たんぱく質などの科学的事実に基づいて推定していくことになります。複数のシナリオの中で、科学的事実と合わなければそのシナリオは外されます。真実ではないということになります。

 では今、主な理論・説にはどのようなものがあるでしょうか?

 参考にできるのは、時々アメリカで行われる世論調査です。だいたい3つに分かれますが、進化論、創造論(若い地球説)とID理論です。例えば、2019年のギャラップ世論調査では、創造論への支持が40%と最も高く、次にID理論のように神が導いて人類が登場したことを信じる立場33%、進化論22%でした(参考: https://news.gallup.com/poll/261680/americans-believe-creationism.aspx)。

 創造論(若い地球説)への支持率が高いのは、米国がキリスト教の国であることを反映しています。これは聖書の創世記の記述通りに神が創造したと信じる立場です。つまり、過去1万年前以内に、1日24時間の6日間で宇宙が創造され、最後に人間始祖がつくられたということです。

 創世記にはアダムは「土のちり」からつくられたとありますから、そのごとく土からいきなり創造されたということなのです。このようなシナリオは映画『天地創造』でも描かれており、近年はケンタッキー州にできた創造博物館(Creation Museum)がクリスチャンたちにとって一大観光スポットになっているほどです。

 進化論も細かく分ければ、ダーウィンの自然選択説、中立説、ウィルス進化論などいろいろありますが、本質的には偶然に依存しているという点で共通しているので、「進化論」で一括りにしておきます。

 ID理論について一言説明します。生物が下等な段階から高等な段階へと発展していますが、それはDNAの情報の発展を意味します。情報が改変されたり、増し加わっているのです。これは偶然の積み重ねで説明できず、知性から来ているというのが最も合理的で納得がいくというのがID理論科学者たちの主張です。しかし、人間がどのように創造されてきたのかについて統一的な見解は発表していないようです。

 先に創造論の中でも若い地球説を紹介しましたが、古い地球説もあります。古い化石や地質年代などの科学的事実を尊重するが、神が個別に創造したという立場です。爬虫類が繁栄したある時代に、ネズミのような姿をした最初の哺乳類が成体(大人の体)としていきなり創造されたということになります。人間の創造も過去1万年前以内ではなく、何万年か前に最初の人間がいきなり成人として創造されたということになります。

GCODEはID理論を土台に段階的創造論を主唱

 これに対して、GCODEは個別創造ではなく、ID理論を土台にした段階的創造論を主唱します。具体的には➀前の生物の親の胎の中でその生殖細胞の情報が書き換えられて新しい生物の受精卵が創造され②胎の中で成長して赤ちゃんとして生まれ、生んだ親に育てられたという立場です。哺乳類から霊長類の段階であれば、ある哺乳類のオス、メスが生殖行動をとる中で、創造活動によってDNAなどの情報が書き換えられ、最初の霊長類の受精卵が胎に着床。新しい霊長類の赤ちゃんが生まれてきたということです。

 私たち人間の起源についても進化論とは決定的に異なります。旧人のような人間に近い種から多数の世代交代を繰り返す中で偶然が積み重なって人間に進化したというのが進化論。これに対して、旧人のような人間にもっとも近いところまできたオス、メスが生殖行動する中でDNAなどの情報の書き換えによる創造がなされ、最初の人間の受精卵が着床。人間は赤ちゃんとして生まれ、生んだ親によって育てられたということです。進化論なら私たちの祖先はサルになりますが、GCODEの段階的創造論なら私たちの祖先はあくまでも人間なのです。

 ですから、科学的事実を踏まえて真実を追求していきますが、選択の対象となる説は5つ。若い地球説、古い地球説、進化論、ID理論、ID理論を土台にした段階的創造論です。

進化論を含む5つの説の違い

特徴

人類の起源について

創造論

(若い地球説)

聖書の創世記の通りに起きたとする立場

過去1万年前以内に6日目に「土のちり」からいきなり成人のアダムが創造された

創造論

(古い地球説)

宇宙の歴史がビッグバン以来138億年経ていることや地球の年齢が45.5億年であることなどの科学的事実を認める

化石の地質年代などの科学的事実を尊重するが、成人のアダムがいきなり創造されたというのは若い地球説と同じ立場

進化論

「偶然が積み重なって起きたDNAの変異で、ある能力を獲得したものが生き残る」ということを繰り返し進化してきた

人間は類人猿のようなサルの子孫。偶然の産物

ID理論

猿人 → 原人 → 旧人 → 新人への脳の拡大は情報の発展を意味するが、新たな情報は知性に由来

人類のDNA情報は知性に由来。最初の人間がどのように創造されたのかについて統一的見解はない

段階的創造論

ID理論が土台。段階ごとの情報の書き換えによる創造がなされた

旧人のような動物の雌の胎の中で、その動物の細胞を土台に人類の受精卵が創造され、赤ちゃんとして誕生。われわれの祖先はサルではなく人間

 これら5つの説についての具体的に検証に入る前に、宇宙探査と絡んで最近話題になることが多い生命の起源の問題を次回からしばらく取り上げていきます。