シマウマ② なぜ動物のコドモを襲うの? 

シマウマは見た目では優しそうで、可愛い印象ですが、外見に反して非常に攻撃的で凶暴な面をもった動物です。自分に危害を加える捕食者であるライオンやハイエナに対して攻撃するのは当然ですが、シマウマの仔馬や他の動物のコドモに対しても攻撃性を発揮するのです。 下の写真は迷子になったハーテビーストのコドモがシマウマの集団に襲われている瞬間です。明らかに攻撃的意図をもって、ハーテビーストの頭を蹴ったり噛んだりしているのです。幸い成獣のハーテビースト2頭が助けに入り、安全な所に導かれてコドモは無事逃げましたが。

仔牛を襲うシマウマの集団
仔牛を襲うシマウマの集団(引用:Quora「シマウマはなぜ自分の子供や他の動物の子供を襲うの?」)

なぜ上の写真のようなことが起きたのでしょうか?シマウマはハーテビーストのコドモを自分たちの群れの安全を脅かす存在だと思ったからでしょう。実際はまだ小さくて危険な存在ではありませんが、捕食動物を呼び寄せる獲物になるので排除して群れを守ったのだと考える研究者もいます。

シマウマのオスは仔馬を殺す

シマウマのオスは群れの中に自分の子でない仔馬がいると殺します。これは他の動物でも一般的にみられる現象ですが、シマウマを無邪気で可愛いい動物だと思っていた人にとっては、ちょっと違和感があるかもしれません。

シマウマのメスは子育て中は排卵がないので発情しません。オスは自分の子でない仔馬を全て殺すことでメスの発情の開始を早めて、自分の子が生まれるようにしているのです。

仔馬を襲うシマウマのオス
仔馬を襲うシマウマのオス(引用:Quora「シマウマはなぜ自分の子供や他の動物の子供を襲うの?」)

シマウマのオスはいろいろな方法で仔馬を殺します。シマウマのオスにはそんなに大きなものではありませんが発達した犬歯があります。オス同士のケンカのときや、仔馬に噛みついて殺すときに使います。また上の写真のように逃れようともがく仔馬を無慈悲に溺れさせたりもします。このケースでは母シマウマが、攻撃しているオスに立ち向かって、仔馬を助け出しました。母は強しです。

仔馬を助ける母シマウマ
仔馬を助ける母シマウマ(引用:Quora「シマウマはなぜ自分の子供や他の動物の子供を襲うの?」)

シマウマの鳴き声知ってますか?

ウマの鳴き声といったら「ヒヒーン」と考える人が多いと思います。シマウマもウマの仲間ですから同じように鳴くだろうと思っていませんか?

ウマの鳴き声といえば「ヒヒーン」。を思いうかべると思いますが、これは遠くにいるなかまを呼ぶときの声です。ケンカをしたり緊張したりしたときは、「キュイーン」と高い声で鳴きます。
ウマによく似たシマウマも、当然同じような鳴き声だろうと思いきや、かれらはなぜか「ワンワン」とイヌのように鳴きます
「もっとざんねんないきもの事典(高橋書店)」P149

ウマの「ヒヒーン」は遠くにいる仲間を呼んだり、自分の位置を示したい時の鳴き方で、大きい声で長めに鳴きます。シマウマの鳴き声はウマとは全然違います。ロバに近い「ヒーハー」という声で鳴きます。シマウマは鳴き声によってコミュニケーションを取っているのです。

シマウマの鳴き方にはいくつかのバリエーションがあって、それぞれの鳴き方に意味があります。たとえば親子であれば遠くにいる子供を探すとき、大人のオスであれば自分の群れを呼ぶときなどに鳴く場合が多いようです。大型のイヌそっくりの短い声で「ワンワン!」と鳴くのは、夕方の時間帯に群れが引き上げるとき仲間を呼ぶ声です。聞いたら意外でビックリしますから一度動画とかで確認してみてください。

草食動物が 敵を見つけたときに発する警戒の声は、あたりの他の動物にも共通に伝わって、それを聞いた草食動物が一斉に逃げ出します。もちろんシマウマが仲間に危険を知らせるときに「ヒホーヒホー」と大きな声で鳴く声も他の動物に伝わります。

シマウマの群れ

昔のウマは丸顔だった?!

シマウマとウマは、約400〜470万年前に共通祖先から枝分かれしました。その頃のウマたちは今より丸顔で歯も小さく、やわらかい葉を食べていました。それが地球を襲った大規模な気候の変動によって緑の大地は枯れ、後に残ったのは乾燥した草原だけでした。そのため、硬い草を噛むことも消化もできないウマたちは絶滅してしまったのです。

では今のシマウマやウマはどのようにして生きのびることができたのでしょうか?生き残るためには硬い草でも噛みくだき、すりつぶせる巨大な歯を持つ必要があります。そしてその歯を支える長い歯根がなければならず、歯根を包む歯茎も伸びなければなりません。つまり生き残ったシマウマたちはそのような歯を持てるような設計図が遺伝子の中に組み込まれていたということになります。

もっと考えるなら、その設計図は気候変動により引き起こされる状況まで想定して作られていたことになります。そうみると生命の誕生を含む全ての成り立ちが、決して単なる偶然などでは起こり得ないことに気づくでしょう。 つまりそのような設計図をもったウマたちだけが生き残ったので、前歯で草を噛みきり、臼歯ですりつぶして食べる今のシマウマの形ができあがったというわけです。 上の歯の歯根は目の真下にあるため、もしそのまま歯根が長くなると目に突き刺さります。それを避けるためには、口そのものがどんどん前に突き出るようにプログラムされている必要があります。その結果今のように長い顔のウマが出来上がりました。


<引用資料>

● Stresscare.Com
 『【中高生版】ストレス講座(2) どうして緊張するとトイレに行きたくなるの?』
  https://www.stresscare.com/student/learn_02.html

● 大阪・北浜の歯医者さん・筒井歯科ブログ
 『シマウマの顔が長い理由』
  https://www.tsutsui-group.jp/blog/シマウマの顔が長い理由/

● AFPBB News
 『シマウマが「しま模様」になった謎を解明か、米研究』
  https://www.afpbb.com/articles/-/3011557

● ダ・ヴィンチWeb「毎日雑学」
 『「ヒヒーン」「モー」それとも…? 超意外なシマウマの鳴き声/毎日雑学』
  https://ddnavi.com/serial/mainichizatsugaku/

● Quora
 『シマウマはなぜ自分の子供や他の動物の子供を襲うの?』
 https://jp.quora.com/シマウマはなぜ自分の子供や他の動物の子供を襲う