カンガルー④  超ビックリ!!身体能力

日本の動物園で見られるカンガルーは、アカカンガルーとオオカンガルーが多いです。この2種類は、カンガルーの中でもとくに大型で、直立すると2mほどの背の高さになります。体重は66~90kgで、メスの大きさは、この半分ほどです。

大きな後ろ肢は跳躍力に優れていて、最大跳躍幅は9m。全力疾走した場合の速さは時速50km以上。世界最速とされるウサイン・ボルト氏でもおよそ時速45kmですから、そのすごさがわかるでしょう。

全力疾走といっても、カンガルーの場合は走るのではなく跳ねると言った方がいいでしょう。同じように跳ねる動物にウサギがいますが、ウサギは前足を突いてから後ろ足でジャンプします。カンガルーは後ろ足だけでジャンプします。それは、カンガルーの前足は短くて、後ろ足はとても長く、筋肉がたくさんついていてジャンプに適した形だからです。

人間は大きい力を出すためには多くの筋力を必要としますが、カンガルーの足の筋肉は、同じ少しの力でどんなジャンプもできるのです。

うさぎのジャンプ
カンガルーのジャンプ

カンガルーは筋肉のかたまり!

一般的にカンガルーは草食動物ですから、草しかたべません。でも、アカカンガルーだけは木の芽や若葉、時には樹皮も食べます。多肉植物も食べるので、その水分で長期間水がなくても生活できるため、半砂漠のような環境にも住んでいます。

そのように、植物しか食べないのに、カンガルーはムキムキのマッチョだって知ってますか?
じつは、カンガルーがメスにもてるためには筋肉もりもりが絶対に必要なのです!カンガルーのオスは、メスにアピールするのにボディビルダーのように、上腕を曲げて筋肉を見せつけます。

アカカンガルーは、オス1頭に複数のメスとそのコドモで10頭くらいの群れを作りますが、メスを集めてハーレムを作るには強くなければならないのです。他のオスとケンカして勝つには筋肉をつけるしかないので、アカカンガルーは日々筋トレに励んでいます。

カンガルー自然保護区アリススプリングスのロジャー1
カンガルー自然保護区アリススプリングスのロジャー
(引用: The Kangaroo Sanctuary Alice Springs
カンガルー自然保護区アリススプリングスのロジャー2
カンガルー自然保護区アリススプリングスのロジャー
(引用: The Kangaroo Sanctuary Alice Springs

草食動物のカンガルーがなぜ筋肉をつけられるのか、それはカンガルーの腸内細菌が植物からアミノ酸を合成する働きをして、筋肉に必要な栄養成分をつくることができるからです。

カンガルーの驚異的身体能力

カンガルーのメスはオスのようにケンカをすることがないので上半身は鍛えられていません。腕の筋肉はオスとメスではかなり違って、メスの腕は比較的小さめです。でも、下半身はオスもメスも同じようにしっかりと筋肉がついています。

ほとんどしっぽと後ろ足で移動するため、脚の筋肉が発達していて、地面をける力が強く、もし人間がカンガルーのケリを受けたりしたら、大けがをしてしまいます。速いスピードで移動しますが、ただ速いだけでなくスタミナも十分!長距離移動も楽にこなし、アカカンガルーなどは、1日200km移動するのもざらだそうです。

アカカンガルーのケンカ1
アカカンガルーのケンカ
(引用: Spots Square ぶちの街角
アカカンガルーのケンカ2
アカカンガルーのケンカ
(引用: Spots Square ぶちの街角

100~120cmもある長くて太いカンガルーのしっぽは5本目の脚と言われています。しっぽだけで体を支えてキックしたり、しっぽでバランスを取ってジャンプで移動したり、直立姿勢のときにもしっぽを使います。このように、しっぽはカンガルーが生活するうえで、とても重要な役割を果たしています。

筋力だけでなく、水の匂いも嗅ぎ分けられるほどの嗅覚をもっているし、視力と聴力も抜群で、350m先にいる天敵を見つけることができるほどです。また、泳ぎも得意で水中のバトルに強いのもカンガルーの特徴です。犬に追いかけられたとき、近くに池や川があると飛び込んで逃げようとします。もし犬が後を追いかけて水中に入ってきたら、カンガルーが反撃に移り、逆に犬を水中に押し込んでしまうそうです。

カンガルーの寿命は野生で12~18年、飼育下では28年ほどです。

アイドル気分の?ひとやすみ

アカカンガルーは数種類いるカンガルーのなかでも最大。筋肉モリモリで力が強く、時速60kmものスピードで走れるため、肉食動物でも、うかつに手が出せません。
そんなかれらでもかなわないのが、暑さです。オーストラリアの中央に広がる砂漠では、夏には地表の温度が60℃近くまで上がります。そこで暑さにたえきれなくなってあみ出したのが、地面に穴をほって、おしりをつっこむ技。こうして冷たい地面に体をつけて、熱をにがしているのです。
しかしこのポーズ、はたから見るとビーチに横たわるグラビアアイドルにしか見えません。
「続々ざんねんないきもの事典(高橋書店)」P38

カンガルーは暑い所の動物なので暑さに弱くはありませんが、汗腺が発達していないため、ヒトのように汗をかいて体温を下げることができません。そこで腕や脚をなめて濡らし、渇くときに発生する気化熱で血管を冷やしています。そのため、暑い日は手足がびしょびしょです。

カンガルーの暑さ対策
カンガルーの暑さ対策
(引用: 浜松市動物園公式サイト わくわく!はまZOO

カンガルーは主に早朝や夕方から夜間にかけて活発に活動し、日中は熱暑を避けて木陰などで休んでいます。

横浜市の金沢動物園で、雨の日にいつも水が溜まっているところに砂を入れました。すると、カンガルーがやってきて穴を掘っていました。しばらく時間をおいて見てみると、その上に寝転がっていました。

砂を掘るカンガルー
砂を掘るカンガルー
(引用: 金沢動物園ブログ「OH!カンガルー」
砂を掘った後に寝転ぶカンガルー
砂を掘った後に寝転ぶカンガルー
(引用: 金沢動物園ブログ「OH!カンガルー」
日向ぼっこするアカカンガルー
日向ぼっこするアカカンガルー
(引用: 東山動植物園オフィシャルブログ

この姿がグラビアアイドルに見えるかどうかはさておき、カンガルーが穴を掘り、地面に体をつけて横になる習性は、動物園でも変わらないということです。これは、カンガルーの中には行動に関する設計図ができていて、地球上に誕生して以来、プログラムされたように生き続けてきたのだということを物語っています。


<引用資料>

● 金沢動物園ブログ「OH!カンガルー」
 『砂あそび?』
  https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/kanazawa/details/post-892.php

● The Kangaroo Sanctuary Alice Springs (Facebook)
  https://www.facebook.com/thekangaroosanctuary

● Spots Square ぶちの街角
 『アカカンガルー』
  http://nekoume.livedoor.blog/archives/1167438.html

● 浜松市動物園公式サイト わくわく!はまZOO 「スタッフ日記」
 『カンガルーの暑さ対策』
  https://www.hamazoo.net/breeder_log.php?eid=00387

● じゃらんニュース
 『動物園の可愛いどうぶつ19選!飼育員さんに聞いたベストショットを撮るコツも<関東>』
  https://www.jalan.net/news/article/473462/

● ガジェット通信
 『カンガルーは全身筋肉の塊。その理由は・・・まさかのモテるため!?』
  https://getnews.jp/archives/2578557

● 東山動植物園「オフィシャルブログ」
 『日向ぼっこ』
  https://www.higashiyama.city.nagoya.jp/blog/2019/10/post-3885.html